
恒志会機関誌発刊に思う
この文章は、恒志会 会報発刊に際し、当初準備してあった巻頭言です。
要約
前理事長 歯科医師 片山恒夫
この度NPO法人恒志会の活動の一環として、機関誌発刊を行うに当たり、 所感のご挨拶を述べたいと思います。
これからの活動は、従来からの活動を継続するとともに、新たに機関誌の発行が行われることになりました。
従来の活動とは、第一に、私の業績を見て頂き、その主旨を聞いて頂く実績写真によるセミナーとし、第二に、外国図書翻訳或は自分の意見を業界雑誌から求められた場合、自分を顕わ(あらわ)にすることを避け、ある点を押さえるような書き方で応じるよう終始心がけ発表することです。また、この会誌を利用し、従来から親しくしていたアメリカPrice-Pottenger Nutrition Foundation(PPNF)との交流の状態、或はその他の未発表の諸事を会員の皆さまにお伝えすることも可能になりました。
さて、第1回総会の時に理事の皆さんにお話申しあげ、ご理解頂いた点をここに簡単に述べさせて頂きたいと思います。
今まで私一人の胸の内に収め、いつか本当に分かりあえる人にお話するつもりでいた事柄です。
それは、医・患共働(共同)、生活由来性疾患、フィジオセラピーとしての医療、以上のような言葉を使いながら説明を進めておりました真の意味です。
実際、詳しく真意を訊ねる方がいなかったため、その意向を発表し内容と運営の方法を詳しく述べることは意図的に差し控えておりました。しかし、医療の内容も日本人の生活内容も大きく様変わりしている今日、この変容の時代に伝えておくべきものと考え、ここに舌足らずになる覚悟で、紙面の許す限り申し述べておこうと思います。
まず第一は、生活由来性疾患或いは生活習慣病は、己の生活に悪習慣を重ね続けていることが原因で起こる疾患であるならば、その病因・病根を生活の中から完全に除去してこそ再燃・再発のない真の治癒が見られることは誰にも分かることです。
そのことが誰にも云われもせず、考えられもしないのは何故なのか。
病気で苦しんでいる人に、生活習慣を根本から変える努力を強要するのは、過酷で無理だと決めていました。
しかし昨今、日常のテレビでも放映されるごとく、食事療法・運動療法の正しい指導が行われつつあります。
手術後、従来は無理・過酷だと考えられていたことごとが考え直され、翌日からでも出来るだけ早く、1日も半時も早く回復させるためのリハビリ運動。
そして、その方法が健康回復のために正しく、良き療法。つまり、それが正しく良き介護であることが次第に理解されるようになってきております。本当の医療の成果、すなわち早く、良く、安く、その上に再燃・再発のない回復こそが真の医療であると考えます。
あらゆる患者と共に、医・患共働で努力する、運動や食事、或いはまたストレスの解消までも医師と患者とが共働で努力すれば、再発のない回復の状況を保ち得ることができる、その結果から患者の努力を継続する、つまり生活の中から病因・病根の悪習慣を完全に取り除いていくことが可能ならば、患者(或いは介護者を含めた患者)と医師の共働の努力の結果として真の医療が実現できると考えます。そしてまた、その患者(或いは介護者を含めた患者)の努力を多くの人に知ってもらうことこそがNPO法人恒志会の神髄だと考え、ここに発表すると同時に分かって頂けるものと思います。
さらに、その一端を会報で皆さまにお伝えすることが会報の使命だと申し上げ、発刊に当たり所感を申し述べさせて頂きました。最後に、多くの会員の中から数名の理事諸君、理事とし活動して頂く方々には、会の運営の真の意味合い(目的)を理解して頂き、発展に向けて努力して頂ける筈だと確信しております。
原文は 恒志会会報 第1号に掲載されています。